平安神宮の北側に位置する「須賀神社」の創建は、貞観11年(869年)。

当時は、今の平安神宮の敷地内に建っていましたが、当然、明治時代創建の平安神宮はまだ存在しなかった頃のこと。

須賀神社はその頃、東天王社(現在の岡崎神社)に対して、西天王社と呼ばれていました。

その後、度重なる戦火を避けるように、近くの吉田山に移され、そこに590年間鎮座しました。

明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく/幕末から戦中にかけて行われた仏教排斥運動)の流れによって、名前を「須賀神社」に改め、大正13年(1924年)に元の御旅所(おたびしょ)である現在の地に戻ってきました。

ご祭神は日本神話に登場する、健速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと)と櫛稲荷田比賣命(くしいなだひめのみこと)の夫婦神。

須佐之男命は暴れ神としても知られていますが、櫛稲荷田比賣命が八岐大蛇(やまたのおろち)のいけにえにされそうになったところを救い、それが縁で結婚。

その後も仲良く暮らしたのだそう。

この夫婦円満な神様が祀られていることから、須賀神社は縁結びや家内安全にご利益のある神社として人々に広く知られています。

また、「須賀神社」の名前は、須佐之男命が「わがこころすがすがし」と歌を詠んだところから、この名が付けられたそうです。

2005年には本殿や拝殿が焼失してしまいましたが、その後すぐに再建され、今は立派な本殿が建てられています。

その土地の氏子を守るため、本殿は氏子が多く住んでいた西の方角を向いており、今なお地元の方々の厚い信仰を集めています。



普段は落ち着いた静かな境内も、毎年2月2日と3日の「節分祭」には多くの参拝者で賑わいます。

節分祭では、参拝者に嬉しい、くじ付きの豆まきが行われます。

しかし、そこに付き物の鬼は現れません。

その代わり、「懸想文(けそうぶみ)売り」と呼ばれる二人組の男性が現れます。

烏帽子(えぼし)を被り、水干(すいかん/昔の衣装)を身にまとい、顔を覆面で隠した風変わりな姿をしています。

右手には文(ふみ)をつけた梅の枝を持ち、左手には懸想文を持っています。

節分祭の日にしか手に入らないこの懸想文を求めて、若い女性から年頃の娘を持つ親御さんまで、多くの女性が訪れます。

それは、懸想文が良縁にご利益があるとされているから。

お守りとして、鏡台やタンスの中に人知れずそっと入れておくと、容姿がさらに美しくなり、着物(衣装)が増え、良縁に恵まれると伝えられています。

そもそも懸想文とは、公家など限られた身分の人しか文字が書けなかった時代に、自分の恋心を代わりに書いてもらっていた、いわばラブレターの代筆文のことをいいます。

懸想文の風習は平安時代から始まり、江戸時代になると最も盛んに行われ、いつしか「懸想文売り」が町中に登場したそうです。

なぜ、懸想文売りが覆面で顔を隠しているのかというと、先に記したように、この商売をしていたのが公家だったからです。

当時、家柄は良くてもお金に困っていた公家や武士たちは、代筆業の副業をしていることが町人にばれないよう、顔を隠す必要があったのです。

この風習は明治になると廃れてしまいましたが、戦後、須賀神社では節分祭の2日間だけ復活。

再び、懸想文売りが現れるようになったのです。

ちなみに、この懸想文の中に書かれている文は毎年変わります。

その内容は…手に入れた方だけのお楽しみに! 

みなさんも、幸せなご縁を授かってみませんか? 

※懸想文は千円。購入は一人一枚まで。数量限定。



須賀神社は、縁結び以外にも多くのご利益があります。

中でも、日本で唯一の交通安全の神様が祀られていることで知られています。

もともと、須佐之男命と櫛稲荷田比賣命と一緒に祀られていた神様を、昭和39年(1964年)に別の社に分けて、「交通神社」として創建されました。

御祭神として、八衢比古命(やちまたひこのみこと)と八衢比賣命(やちまたひめのみこと)の夫婦神、そして神様の道案内をしていたという久那斗之神(くなどのかみ)が祀られています。

久那斗之神は人里の入口などで侵入してくる魔物を防ぐ神様でもあったそう。

この3柱の神様が道行く安全を見守ってくれることから、交通安全や旅行中の安全を守る社として評判となり、日頃、車を運転する方など、多くの参拝者が安全祈願に訪れます。

また、珍しいところでは、犬猫用の交通安全祈願のお守りがここ須賀神社では手に入ります。

肉球の刺繍が入った可愛らしいお守りは、首輪に付けられるミニサイズで、とても人気があるそうです。

節分祭のほか、参拝者が見学できる行事として、「角豆祭(ささげまつり)」といわれる例祭(神幸祭) が毎年5月の第2日曜に行われます。

“ささげ”とは小豆よりも小ぶりの豆のこと。

かつて、ささげが芽を出す頃に行われていた行事で、つる葉に多くのさや豆がつく姿にあやかって、氏子が繁栄するようお祈りしています。

当日は、御鳳輦(ごほうれん/神様の乗り物)や子供みこしなどが賑やかに町内を巡行します。

また、境内には立派な梅や桜の木があります。

これからのお花の咲く季節、華やかな光景が参拝者の目を楽しませてくれることでしょう。


今日もちょっと京都通。

では、次回もよろしくお願いします。


取材協力:須賀神社
〒606-8323 京都市左京区聖護院円頓美町1
電話番号:(075)771−1178
FAX番号:(075)771−1178




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