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京都通

  • 2019/3/16

第344回 玄武神社『京都三大奇祭で知られる、やすらい祭発祥の神社』

京の都の北方を守護してはるんどす

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京都御所の北西に位置する「玄武神社」。
玄武(げんぶ)とは青龍(せいりゅう)、白虎(びゃっこ)、朱雀(すざく)とともに王城を守る四神の一つで、平安京の北方を守護する社であることから、玄武神社と名付けられました。

玄武は中国の伝説上の神獣で、一般的には亀に蛇が巻き付いた姿をしています。
亀は長寿、蛇は商売繁盛にご利益があるとされ、昔は境内の小池にたくさんの亀が放育されていたことから、「亀宮(かめのみや)」とも呼ばれていました。

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御祭神は第55代文徳天皇の第一皇子である惟喬(これたか)親王です。
惟喬親王は聡明な方で、父・文徳天皇の深い愛情を受け、いずれは皇太子になると誰もが予想していました。

しかし、嘉祥3年3月(850年)、その当時、最も権威を誇っていた藤原良房の娘で、女御である藤原明子が第四皇子の惟仁(これひと)親王を誕生したことで状況は一変します。
文徳天皇は良房に気を遣い、生後わずか9カ月の惟仁親王を皇太子とされたのです(のちの清和天皇)。

第一皇子として生まれながらも、国の中央政治に関わることなく、悲運な生涯を歩まれた惟喬親王の御霊を慰めるため、元慶2年(878年)に惟喬親王愛蔵の剣をお祀りして創建したのが玄武神社の始まりで、「惟喬社」とも称されました。
ちなみに、惟喬親王は陶芸で使う「轆轤(ろくろ)の始祖」としても崇拝されています。

風流な花傘の下で厄払いを願いまひょ

桜の散り始める毎年4月の第2日曜日に行われる「玄武やすらい祭」。
やすらい祭は鞍馬寺の火祭り、広隆寺の牛祭り(現在は不定期開催)と並び、京都三大奇祭の一つに数えられています。

昔から、桜の花が風に吹かれて舞い散る様子と、疫病が飛散して流行する様子が似ていることから、桜が舞い散ることで疫病が流行すると考えられてきました。
この疫病を鎮めるため、奈良時代より行われていたのが「鎮花祭(はなしずめのまつり)」で、その風習が今なおやすらい祭に伝承されています。

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やすらい祭が玄武神社で始まったのは、今から平安時代の中期頃。
康保2年(965年)、京の都で発生した大水害の後に疫病が流行したことから、その翌年、大和国(現在の奈良県)の三輪大社(おおみわじんじゃ)の鎮花祭の慣わしにより、玄武神社で行うよう勅命(天皇の命令)があったとされています。

やすらい祭というと、今宮神社を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は玄武神社が発祥なのです。
現在も玄武神社(紫野雲林院町)をはじめ、今宮神社(紫野今宮町)、川上大神宮(西賀茂南川上町)、上賀茂(上賀茂岡本町)の4つのやすらい踊保存会によって伝承されています。

祭の当日は、「やすらい花や」のかけ声と共に、笛や太鼓のお囃子(はやし)に合わせて、街を鬼や小鬼が付近一帯の氏子地域を踊り歩きます。
シャグマと呼ばれる赤と黒のザンバラ髪の鬼が、長髪をたなびかせながら大きく飛び跳ねて踊る様はとてもユーモラスで、三大奇祭となっている所以がここにあります。

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また、このお祭の主役ともいえるのが、「風流傘」と呼ばれる直径2メートルほどの大きな花傘です。
傘の上には桜や柳、椿、山吹などの生花が飾られており、この華やかな花傘に疫病を呼び寄せ、神威で降伏させようという意味合いがあります。
花傘に入ると、1年間無病息災で過ごすことができるといわれ、みんな競うように傘の中に入ってお祭りを楽しみます。
やすらい祭は昭和62年(1987年)、国の重要無形民族文化財に指定されました。

二つの末社もあわせてお参りしておくれやす

かつて境内は広かったと思われますが、現在はこじんまりとしていて、石の鳥居をくぐるとすぐに本殿があります。
本殿中央には、亀に蛇が巻き付いた玄武の石像が置かれています。
王城北面の鎮護および、この地の守護神とし、現在も京都北方の守護神社とされているところから、方除けをはじめ、厄除け、疫病除にご利益があるといわれ、地域の人々から崇敬されています。
本殿横に掛けられた絵馬にも玄武の姿を見ることができ、また、華やかなやすらい祭の絵馬も並んで掲げられています。

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本殿の隣には二つの末社があり、左が「玄武稲荷大神」、右は「三輪明神」で、稲荷大明神は五穀豊穣商売繁盛を、三輪明神は病気平癒延命長寿のご利益があるとされています。

三輪明神は日本最古の神社のひとつ、奈良県の大神神社(おおみわじんじゃ)の御分霊によって建てられたもので、先に記したように、やすらい祭のルーツともいえる花鎮祭が行われていた神社です。
玄武神社を参拝する際は、本殿だけでなく、末社にもお参りし、厄除け、商売繁盛、延命寿命と3つのご利益を祈願しましょう。

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また、玄武神社のすぐ隣には今宮神社の御旅所(おたびしょ)もあり、大徳寺や船岡山にもほど近く、これらはすべて歩いて行くことができます。
是非、あわせて訪れてみてはいかがでしょうか。

取材協力 : 玄武神社
〒603-8214 京都府京都市北区紫野雲林院町88
電話番号 : (075)451-4680
FAX番号 : (075)451-4680

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