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京都通

  • 2017/5/20

第322回 京都万華鏡ミュージアム『小窓の向こうに無限に広がる幻想的な世界』

珍しい万華鏡を手に取って楽しめるんどすえ

万華鏡は「鏡を利用して筒の中に反復する模様を作り出し、動かすことにより模様の変化を楽しむ」玩具の一種で、1816年にスコットランドの物理学者デイヴィッド・ブリュースター卿によって発明されました。美しい万華鏡は見る者を魅了し、瞬く間に世界中に広まりました。日本には発明から3年後の1819年に上陸し、江戸時代だった当時の日本では「万華鏡(ばんかきょう)」「百色眼鏡(ひゃくいろめがね)」などと呼ばれ、大変流行したそうです。また、1980年代に入ると、アメリカのコージー・ベイカーという女性の働きによって「万華鏡ルネッサンス」が起こり、おもちゃのイメージが強かった万華鏡はアート作品として発展し、日本でも多くの万華鏡作家が活躍することとなりました。

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2004年6月にオープンした「京都万華鏡ミュージアム」では、一般的な筒型のものから電動式のもの、ガラスや陶器、木など珍しい素材を使ったもの、京都らしいユニークなものまで、国内外の一流作家による約300点の万華鏡を収集し、その中から季節やテーマに沿った約50点が公開されています。年に3~4回展示替えが行われ、すべての万華鏡を直接手に取って自由にご覧いただけます。さらには音楽とともに楽しめる「オルゴール万華鏡」、陶芸家と万華鏡作家のコラボレーションで製作された高さ1メートルもある「大型京焼万華鏡」、京都・嵐山の渡月橋や石庭を表した「ジオラマ万華鏡」、ステンドグラス製の舞妓さんの像に万華鏡が内蔵された「舞妓2003」などが常時展示されています。

「どこからのぞくの?」「どんな仕組みになっているの?」といった疑問はボランティアスタッフの方が丁寧に解説してくださいますので、気軽に尋ねてみてください。また、1時間おきに約5分間、展示スペースの照明を消して、室内の天井や壁面全体に「投影式万華鏡」が映し出されます。これは録画映像ではなく、実際に電動で回っている11台の万華鏡の映像をそのまま投影しているため、同じ模様は現れません。まるで万華鏡の中にいるかのような感覚を味わうことができるとともに、まだ片目をつぶることができない小さなお子様でも楽しむことができます。

世界に一つだけの万華鏡を作ってみまへんか

万華鏡の仕組みをもっと知りたいという方は、万華鏡を実際に作ってみてはいかがでしょうか。予約なしでできる手作り体験教室は、ミュージアムショップでドライタイプかオイルタイプの手作りキットを購入すれば、スタッフの方が完成までしっかりサポートしてくださいます。キットに中に入っている3枚の鏡の板を三角柱になるように貼り合わせ、それを筒の中にセットします。ビーズやスパンコールの入った小さな透明のキャップを筒の片側にはめ、あとは筒に好きな紙を貼れば完成です。

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ドライタイプの万華鏡はキャップを取り外すことができるので、中にお花や折り紙などを入れてアレンジを楽しんでいただけます。誰でも簡単に作ることができるので、親子連れや修学旅行生、海外のお客様にも人気を集めています。また、予約制の「特別な体験教室」は万華鏡作家の方から直接教えていただけるとあって、よりアートな世界を感じていただけます。

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特に夏休み期間中はペットボトルや紙粘土を使ったもの、顕微鏡やテディベアを表したものなど、夏休みの自由研究にぴったりのテーマが多数用意されています。手作りキットやさまざまな万華鏡を取りそろえたミュージアムショップ、手作りケーキなどが味わえるカフェテリアも併設されているので、鑑賞後や観光の合間にゆっくりと過ごすスポットとしてもおすすめです。

「万華鏡世界大会 in 京都」におこしやす

万華鏡の世界で最も権威ある組織「BKS(ブリュースター・カレイドスコープ・ソサエティ)」が1985年から毎年アメリカで開催している「万華鏡世界大会」。今年は本部のあるアメリカ以外で、それも日本で開催されることになりました。2017年は万華鏡が発明されて201年目にあたるということ、そして大会の上位入賞者に日本人作家が多いことから、日本の中でも伝統文化や芸術が息づいている京都での開催が決まったそうです。

5月25日(木)~28日(日)まで、万華鏡ミュージアムからほど近くにある堀川御池ギャラリーで行われる「万華鏡世界大会 in 京都」では、会員である国内外の万華鏡作家・収集家が一堂に会し、新作発表・作品展示・販売・ワークショップ・講演・交流イベントを行います。5月27日(土)と28日(日)の2日間は一般の方も入場可能となり、世界中の著名な作家の万華鏡を鑑賞できるほか、作家から直接作品を購入できます。そして、新作発表会では会員相互の投票により、最優秀作品賞「ピープルチョイスアワード」が決まり、最終日に受賞者が発表されます。今回は日本での開催とあって、日本人作家がより多く参加しているそうです。そのほか、万華鏡の絵画やジオラマ万華鏡、投影式万華鏡の特別展示もあり、見どころ満載の大会となっています。

この大会の開催を記念し、京都万華鏡ミュージアムでは6月23日(金)まで『万華鏡世界大会開催記念特別展示 依田満・百合子と外国人作家作品展』と題して、日本を代表する万華鏡作家、依田満・百合子ご夫妻の作品と外国人有名作家の作品を展示しています。また、6月24日(土)から9月29日(金)までは『夏の万華鏡』と題して、夏をテーマにした涼しげな万華鏡が並びます。

万華鏡の展示・ショップ・体験がすべて味わえるのは関西では「京都万華鏡ミュージアム」だけです。是非、この機会に万華鏡の幻想的な色と光の世界を心ゆくまでお楽しみください。

取材協力 : 京都万華鏡ミュージアム 姉小路館
〒604-8184 京都市中京区姉小路通東洞院東入曇華院前町706-3
電話番号 : 075-254-7902
FAX番号 : 075-254-7902

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